ガラスの中の芸術
日中はまだまだ夏の日差しを感じながらも、日がくれる頃には少しずつ夏の終わりが訪れようとしているこの季節。
収穫の秋の始まりに相応しいこの時期に、こんな旅はいかがだろうか?
今回の旅はフルーツの故郷である山梨県でワイナリーを巡る旅をご紹介する。
今回お邪魔したのは、気軽にふらっと立ち寄り、誰でも気兼ねなくワイナリーの見学ができる小さなワイナリーである、『シャルマンワイナリー』だ。
(見学は無料)
場所は、山梨県北杜市白州町。
ワイン造りのキモは原材料であるブドウの品質が全てである。
品質の高いブドウを育てるためには気候と土壌の質が非常に重要だ。
昼と夜の気温差が大きく、かつ雨が少ない気候。
さらに土壌は水はけの良いやせた土地であることが理想とのこと。
そのすべての条件を満たしているのがこの白州町というわけだ。
その気候や風土はボルドー地方そのもの。
そのおかげで、日本でも欧州に勝るとも劣らない高品質なブドウの栽培が可能になるのだ。
9月初旬から10月にかけてが原材料のブドウの収穫期だ。
ここで収穫されたブドウは、破砕→圧搾を経て果汁となり、そこに酵母を加えることで発酵していき徐々にワインになっていく。。。
発酵中にできたカスを丁寧にしっかり取り除きながら、1~2年の時間を重ねて行くことで、初めて澄んだワインの原型が出来上がるのだ。
ワインの原型が出来上がったら、そこから銘柄に合わせて、長期熟成に入っていく。
地下に設置された樽やタンクの中で熟成し、短いもので1~2年、長いものでは20年以上もの歳月をかけて熟成されていくのだという。
長い長い、時間をかけてようやく出来上がっていくワイン。
一本の瓶の中の作品は、作り手の様々なドラマと時の重みが入った、まさに作り手の総合芸術と呼べるものだ。
今回、知られざるワイン作りの世界をご紹介したが、一般的に、ワイナリーを巡る旅なんてあまり発想がないかもしれない。
だからこそ、今回、旅のテーマに取り上げようと考えた。
大人にこそ社会科見学は必要だ。
これからブドウも収穫の時期を迎え、熟成を終えた新酒が続々と発表される季節になっていく。そんな時に、この一本の瓶の中には様々なドラマがある事を知り、それに想いを巡り合わせていくのもなかなか乙なものではないか。
作り手のこだわりを知ることで、ワインの味わいもまた格別なものになるに違いない。
0コメント