匠の技
先月、某天然水の生い立ちを見届けるために、潜入したサントリー白州蒸留所。
実はこの場所、天然水を造る工場だけではない。むしろ蒸留所の名の通り、ウィスキーを造るためのファクトリーでもあるのだ。
実は先日、たまたま近くに立ち寄る要件があったので再び潜入することにしてみた。
今回は白州蒸留所後編、ウィスキーの生い立ちに迫ってみよう。そこには、驚くべき匠の技があった。
まずは、天然水の生い立ちツアー同様に、歴史を感じる建屋で受付を済ませよう。
受付が完了したら、予約の時間までは、館内のミュージアムの散策だ。今回は、ウィスキーの製造工程見学になるので、ここで事前に蒸留施設のモデルや方法などを予習しておくといいだろう。
さぁ、予定のツアーの時間だ。これから知られざる世界の一部始終をお届けしよう。
ウィスキーの製造は大きく分けて『麦汁の発酵→蒸留→熟成→ブレンド』という4つの工程に分かれる。
まずは『麦汁の発酵』の工程だ。
ちなみに、ウィスキーツアーにおいてはファクトリー内の撮影が許可されたので、今回はファクトリー内の様子を随時お届けしよう。
まずは、麦汁を発酵させることから始まる。
膨大な数の酵母の中から、長年の研究により導き出された、数種の酵母をブレンドし、発酵させているという。森の乳酸菌の働きを促すために、木桶発酵を長めに行うのが白州流。これにより、爽やかさと味わい深さを両立しているのだという。
建物内に入ると、すでにウィスキーの香りが充満している。お酒が苦手な方は酔うかもしれないので要注意だが、外で待機も可能なのでご安心あれ。
今回の見学時には発酵2日目の状態を確認することができた。
発酵が終わると、次は蒸留酒のキモである『蒸留工程』だ。
ポットスチルという、銅製の窯で2回に分けて蒸留するのだそうだ。ここでは形状の違う複数のポットスチルを使用し様々なモルトを作り分けている。その試みは世界の蒸留所を見てもあまり例がないそうだ。
蒸留を終えると次は『熟成』に入る。
ここからはバスで場内を移動し、壮大な熟成庫へと案内される。
ひとたび足を踏み入れるとそこは別世界だ。
同じ原酒であっても、詰める樽によって味わいや風味が変化してしまうため、熟成樽についても膨大な研究がされているという。木の種類はもちろんのこと、樽の前歴や焼き入れ具合など、一つ一つの樽の状態を確認し、原酒を組み合わせることで熟成をコントロールする。膨大な手間と森の中の空気を吸いながら長い年月を経て熟成することで、ウィスキーの香りと色が完成されていくのだ。
長期熟成を終え、完成した原酒。原酒からウィスキーへと変貌を遂げる最後の工程。それが『ブレンド』だ。
ブレンダーと呼ばれるマイスターが多種多様に生み出される原酒の個性を尊重し、調和することで一つの『ウィスキー』として完成されるのだ。ウィスキーを造るうえで最も重要なテイスティング。さすがに企業秘密ゆえ、その技術が公開される事はないが、なんと、1日に300種類の原酒をテイスティングし、最適な解を求めてブレンドしていくのだそうだ。
天文学的組み合わせのなかから、一つの解を導き出す技術はまさに『匠』である。
膨大な時間と繊細な技術を組み合わせて完成されるウィスキー。なんとも奥深い世界だろうか。
ファクトリーの見学が終わると、こちらもお待ちかねの試飲タイムが待っている。
なお、ウィスキーの場合、有料で様々な銘柄を飲み比べることが可能なので、好きな方はぜひとも飲み比べをしてみると良いだろう。
知られざる匠の世界はいかがだっただろうか?
こちらも公式サイトから事前の予約が必要となるが、膨大な英知と時間が生み出す総合芸術を目の当たりにしてじっくり鑑賞してみてはいかがだろうか?
新しい発見とウイスキーの概念が変わるかもしれない・・・。
(蒸留所見学は有料版と無料版があるので予約時に確認してほしい。)
もちろん、飲んだら乗るな!
お酒のマナーと運転ルールは守って快適な Urbanlife Style を。
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