L-finesseの原点
初代のレクサスISは、日本でレクサスブランドが導入される前にアメリカで販売されており、同時期に日本で販売されていた車名はアルテッツァだ。
この車名を聞いて懐かしいと感じる方も多いのではないだろうか?
2代目モデルの発売は、2005年8月。
もう10年以上前になるが、当時アメリカで展開されていたレクサスブランドを日本に導入する際に発表されたクルマである。
今回は、発表されて5年後にマイナーチェンジを受けた後期型モデルを用意した。
現時点では、フルモデルチェンジを果たし3代目に生まれ変わっているレクサスISであるが、あえて2代目のモデルを紹介する。
それはなぜか?
そこには「日本車ならではの個性」があるからだ。
それでは恒例のエクステリアデザインから見てみよう。
最初の印象はズバリ「ザ・日本の高級車」だ。
随所にL-finesseと呼ばれるデザイン言語を取り入れており、ヘッドライトにあしらったL型のポジショニングライトが控えめに個性を主張する。
今ではレクサスの象徴となったL型のポジショニングライトであるが、一番最初に採用されたのはこのモデルだ。
奇をてらう事をせず、控えめに表現されたエクステリアデザインは欧州車に比べれば、デザインに華々しさはないように感じるかもしれない。
しかし、これが日本の流儀である。
続いてインテリアに潜入してみよう。
まず目に飛び込んでくるのは「圧倒的な緻密さと質感の高さ」だ。
また、ハイブリッド車でないにも関わらず、圧倒的な静粛性(車室内の静けさ)には相変わらず驚かされる。
これこそ「レクサスの原点」であり、欧州車にはマネの出来ない一番の魅力であろう。
外部のノイズが遮られた車内で組み合わされるオーディオシステムは極上だ。
標準モデルでも充分に満足できる代物であるが、Urbanlife読者には是非ともメーカーオプションである「Mark Levinson Premium Surround System」装着車を推奨したい。
このオーディオシステムから繰り出される、圧倒的なサウンドステージを一度体感してしまうと、恐らく「車内で音楽を聴くこと」に対して価値観が変わるはずだ。
そこはまさに「プライベートのコンサートホール」と呼ぶに相応しいほどのリアルな音像が目の前浮かび上がる。
初めてこの音を聴いた人は度肝を抜かれること請け合いだ。
ハイエンドオーディオの世界を牽引するMark Levinsonの名を唯一、使用する事が許されたブランドであるレクサス。
それを決定づけたのはその圧倒的な車室内の静粛性に他ならないのだ。
そして肝心の走りはどうか?
今回のモデルはIS 250という、V6・2.5Lのエンジンを搭載した車両だ。
登場が10年以上前であるがゆえに仕方のない部分であるが、エンジンなどの性能はひと世代前の性能だ。
お世辞にも良いとは言えない燃費の上に、使用燃料はハイオク。
さらにパワーも少々心もとない部分があり、長い上り坂が続く道や、アクセルを踏みこんだ時のグッとくる加速は少々苦手だ。
同じ燃費が悪いのであれば明らかにパンチの効いた加速が楽しめる3.5Lエンジンの方が良いかもしれない。
乗り味は「しなやか」という印象であり、車両を積極的に操る感じではない。
卓越した静粛性の車内でコーヒー片手にクラシックを聴きながらドライブするのがこのクルマの正しい乗り方だ。
パッと見て良さを見い出すより、じっくりと長く付き合うことで良さを見出していくという、日本人らしさがこのクルマには存在する。
そして悲しいかな、私も日本人。この世界観は実は大のお気に入りであったりする。
今では先代のモデルとなってしまったが、L-finesseの原点でもあるクルマなので乗れるチャンスがあれば是非ハンドルを握り、極上の音楽とともにドライブしていただきたい。
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